数次相続の発生
上記図をに例に説明させていただきます。甲土地の登記名義人は太郎さんで、令和元年3月25日に亡くなり、遺言書などは残していませんでした。太郎さんの相続人は、妻(花子さん)と長男(一郎さん)と次男(二郎さん)でしたが、次郎さんがその5年後に亡くなってしまいました。次郎さんは遺産分割協議を行う前に、亡くなってしまいました。
甲土地は一郎さんの自宅が建っている土地であるため、一郎さんが取得し、相続登記をしたいと思っています。
では、一郎さんはだれと遺産分割協議をして、どのような書類を作成する必要があるでしょうか。
相続人の調査及び相続人との協議
相続人の調査は、被相続人(今回でいう太郎さん)の出生から死亡までの戸籍を集める必要があります。結果、妻(花子さん)、長男(一郎さん)と次男(二郎さん)が相続人であることとなります。
しかし、二郎さんは、令和6年3月25日に亡くなってしまいました。そのため、亡くなった二郎さんの代わりに二郎さんの相続人全員が遺産分割協議に協力してもらう必要があります。
→二郎さんの相続人の調査をするために、二郎さんの出生から死亡までの戸籍を集める必要があります。上記図のとおり、二郎さんの妻(高子さん)と長男(三郎さん)と次男(四郎さん)が二郎さんの相続人ということがわかりました。
一郎さんは、上記図の花子さん、高子さん、三郎さん、四郎さんの4人と遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成し、そこに実印の捺印及び印鑑証明書の提供に協力してもらわなければ、甲土地の相続登記を受けることができないこととなります。
リスク
もし、二郎さんが生存している間に、遺産分割協議ができていれば、花子さん、一郎さん及び二郎さんの3人で遺産分割協議をすれば済みました。しかし、二郎さんが亡くなった後に遺産分割協議となると、二郎さんの相続人と協議しなければならなくなり相続登記ができないリスクが増大します。
なぜなら、遺産分割協議は相続人全員と行わなければ無効であり、その相続人全員が遺産分割協議に協力的であるとは限らないからです。
そして、相続人の中に以下のような方がいる場合は、要注意です。
- 認知症の方がいる
- 疎遠または不仲な方がいる
- 行方不明な方がいる
- 海外に居住してる方がいる
- 破産している方がいる
- 意見が合わない方がいる
- 未成年者がいる
相続人が増えれば増えるほど上記の方に該当する可能性は高まります。そして、上記に該当する場合は、手続きが非常に複雑で、手間と時間をかけても結局解決しない可能性もあります。(それぞれの事例については、後日別のコラムで詳しく説明いたします。)該当する相続人がいる場合は、ぜひ泉司法書士事務所へご相談ください。